歯科医療でヒアルロン酸・ボトックスを活用できるの? ヒアルロン酸やボトックスと言えば、美容医療などの分野で活用するものであると認識されている人も多くいらっしゃるのではないかと思います。しかし、意外にも歯科の分野においてもヒアルロン酸やボトックスが活用されるケースもあります。そこで今回は、歯科医療において活躍を広げつつある、ヒアルロン酸とボトックスについて、詳しくご案内して行きます。 歯科医療と美容医療の違い お口の中はとても重要な役割を担い、歯はただ単に食べ物を噛み砕くために存在するのではなく、生命を維持するために必要である臓器と認識されています。   歯科治療と一言で言っても、お口の中はとても複雑な構造をしており、単純に歯だけが歯科医療領域ではありません。1996年当時、厚生省で実施された「歯科口腔外科に関する検討会」おいて、歯科医療の領域は以下のように定められました。   標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域の対象は、原則として口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底に、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液腺(耳下腺を除く)を加える部位とする。   出典:第2回「歯科口腔外科に関する検討会」議事要旨より一部抜粋 https://www.mhlw.go.jp/www1/shingi/0628-3.html   また、お口の中で生じる疾患の治療を的確に行うために、さまざまな分野に分けて専門的な治療が行われます。   むし歯や歯周病などの一般歯科で行われる治療は、みなさんの一番身近にある科目なのではないでしょうか。次いで乱れた歯並びや咬み合わせを整える矯正歯科や、親知らずの抜歯や口腔ガンなどの外科的治療が行われる口腔外科。乳歯の治療を対象にした小児歯科などがあげられます。   一方、美容医療は疾患の治療ではなく、美しくあるためにだけに特化した医療を指します。一般的にも広く認識されている美容医療と言えば、二重まぶたや豊胸などの整形手術をイメージするのではないかと思いますが、美容医療の種類は整形手術以外にもたくさんあります。   近年ではスキンケアとして毛穴、ニキビ治療や、シミ・シワの改善に、ピーリング、レーザー治療やボトックス注射、ヒアルロン酸注射などが用いられています。手術を必要としないため、その手軽さからも、昔に比べると美容医療に対するハードルも低くなりつつあります。   これまでお話ししたように、歯科医療は歯科領域における疾病の治療を目的に実施され、美容医療は美の追求するために施される医療であり、根本的な目的が異なります。   以降の章では、これら分野の違う医療において、どのような目的でヒアルロン酸とボトックスが活用されるのか、詳しくお話していきます。   ヒアルロン酸で得られること ヒアルロン酸という言葉はテレビCM やネットでも見聞きするワードであるため「美容にいいもの」と認識がある人も多いでしょう。しかし、美容に関心がない人にとっては、ヒアルロン酸がどのようなものであるか、どんな効果が期待できるのか知っている人はそう多くはないのではないでしょうか。   ヒアルロン酸は、ヒト由来の成分であり、皮膚の保湿や保水成分です。透明なジェル状の物質で、ヒアルロン酸1gにつき、6リットルもの水を保持できると言われ、皮膚の柔軟性や弾力性を保つために重要な役割を果たしています。   美容医療ではシワ・ほうれい線の改善や、涙袋の形成、口唇形成、輪郭形成などでヒアルロン酸が活用されています。   もともと身体に存在する成分であるため、体内に既に存在するヒアルロン酸と注入されたヒアルロン酸が結合し、自然な仕上がりで患部にボリュームを持たせ、皮膚のハリや弾力を向上させます。   また、時間と共に体内に吸収されてしまうため、継続的に効果を保つためには、定期的にヒアルロン酸注射をしなければなりません。   歯科医療でヒアルロン酸注入・こんな人におすすめ 歯科医療で行うヒアルロン酸注入は、主にお口周りに限定され、以下のようなことでお悩みの場合、おすすめです。   【口角が下がっている】 口角が下がっていると、実年齢より老けて見えたり、不機嫌に見えたりします。下がっている口角にコンプレックスを抱えている人、印象を良くしたい人におすすめです。   【ほうれい線がくっきりと目立つ】 加齢による骨・筋肉の萎縮、脂肪のたるみによって、ほうれい線が目立ちやすくなり、ほうれい線があると老けた印象を与えてしまいます。   【ブラックトライアングルが目立つ】 歯肉が加齢・歯周病によって下がると歯と歯の隙間に三角の隙間が目立つようになります。歯肉の衰退は老けた印象を与えるだけではなく、ブラックトライアングルに食べカスが詰まりやすくなるため、むし歯リスクや歯周病リスクも高くなります。   【マリオネットラインが気になる】 左右の口角から顎に向かって伸びる線を指します。口角が下がっている人の場合に出やすく、実年齢より老けて見えたり、不機嫌に見えたりしてしまいます。   ボトックスで得られること 美容医療においてボトックス注射は主に、シワ改善などで活用されます。ボトックス注射で注入するも薬剤は、A型ボツリヌストキシンといいます。ボツリヌス毒素から抽出した、たんぱく質から出来ています。   ボトックス注射では、薬剤を注入した部位の筋肉の神経伝達をブロックします。これにより筋肉の動きが緩やかになり、本来ならばシワを誘発してしまう筋肉が動かなくなるため、おのずとシワの発生を抑えられるのです。   また、半永久的に効果を持続できるわけではないため、個人差はありますが3ヶ月~6ヶ月に1度、定期的に施術を受ける必要があります。   歯科医療でボトックス注射・こんな人におすすめ 歯科医療で行うボトックス注射は、主にお口周りに限定され、以下のようなことでお悩みの場合、おすすめです。   【顎関節症の症状がある】 顎関節症である場合、咬筋の過剰発達による強すぎる咬合力が原因とも言われているため、ボトックス注射で咬筋の動きをコントールすることで症状を改善へとつなげていけます。   【咬みしめ・歯ぎしりがある】 咬みしめや歯ぎしりの要因は複数考えられますが、筋肉の緊張が関係していると考えられています。そのため、ボトックス注射で筋肉の緊張を緩和することで、それら症状の改善に有効とされています。   【口周りのシワが気になる】 筋肉の動きを制限させることで、ほうれい線、唇のシワ、顎のシワ(梅干し)などを目立たなくすることが出来ます。   【ガミースマイル】 ガミースマイルとは、笑ったときに歯肉が大きく見えてしまうことを指します。上唇拳筋の動きを緩やかにすることで、笑ったときに上唇が上がりにくくなり、歯肉を口元から見えにくくすることができます。   【口角が下がっている】 口角を下へと引っ張る口角下制筋と呼ばれる筋肉が存在します。口角下制筋の動きを緩やかにすることで、口角が下がることを予防できます。   【フェイスラインが気になる】 エラなどのフェイスラインに悩んでいる場合、口周りの筋肉の緊張を緩和することで、エラが目立たなくなります。   まとめ 今回は歯科医療における、ヒアルロン酸とボトックスについて詳しくご紹介して参りました。ヒアルロン酸やボトックスを取扱った施術は本来、美しさを求めた美容医療の領域でありました。しかし、近年ではお口周りの症状を改善することを目的にした、歯科医療でも活用されるようになり、注目されています。ヒアルロン酸やボトックスについて、さらに詳しく知りたい、相談したいなどの際には、お気軽にご相談ください。