2023/01/16
歯の治療は、きちんと治療すれば長持ちします。
特にセラミックはマテリアルの選択、接着技法などをしっかり行えば長持ちする材料です。
では、どうすれば寿命を延ばすことができるのでしょうか。
この記事では、セラミック治療の寿命を延ばすために知っておきたい情報を解説します。
寿命を決めるもの、銀歯とセラミックの寿命の比較、セラミック治療が壊れやすい人・壊れにくい人、セラミック治療を長持ちさせる方法について解説します。歯を長持ちさせるために正しい情報を知りましょう。
【目次】
1.そもそも歯科治療の寿命は何で決まる?
2セラミックの寿命を決める要因
3銀歯とセラミックを寿命の観点から比較する
4セラミック治療が壊れやすい人、そうでない人は?
5セラミック治療を長持ちさせる方法
1.そもそも歯科治療の寿命はどんな要因で決まる?
そもそも歯を失う要因は『細菌』『力』『生活習慣』の3つしかありません。
その中で、被せ物の寿命を決定づける要因は
・自分の歯の量
・噛み合わせ
・素材の強度
・接着材料と接着操作
・プラークコントロール(歯ブラシ・歯間ブラシ・フロス)
自分の歯の量
被せ物は自分の歯と接着して維持されます。自分の歯がの量が多ければ多いほど接着面積が大きく取れるため、外れにくくなります。
また、神経がない歯などは土台を立ててかぶせているため、ご自身の歯が少なく接着面積が少なくなるため脱離しやすい傾向にあります。
ちなみに、歯茎より上に1.5ミリ以上・厚み2ミリ以上ないと安定した被せ物はできないと言われています。
噛み合わせ
被せ物が外れるときは、力で被せ物を壊すか、接着剤を力で破壊するか、隙間から水分が入って接着剤が劣化して外れるかです。
この中で噛み合わせは一番多い要因を占めていると思います。
セラミックは他の材料と比較して1点の集中した力に弱いです。
そのため適切に咬合調整が行われないと、セラミックが割れる原因になります。
銀歯の場合はやたらと外れてきたりします。
また、歯列不正により前歯が噛んでおらず、奥歯に負担がかかりやすい噛み合わせも力が集中する一因です。
素材の強度
セラミックの種類は歯より硬いものから、すぐ割れてしまうほど脆いものなど多種多様です。そのため素材の強度選びは重要です。
壊れて欲しくないから硬いのにしよう!という方もいるかもしれませんが
セラミックの接着力は高くセラミックが壊れてくれなかったら直接歯の内部に力が浸透し、歯そのものが悪くなってしまうケースもあります。
また、堅すぎるセラミックを入れて噛み合わせの歯をダメにしてしまうケースもあります。
接着剤と接着操作
保険治療と使用できる接着剤と自由診療で使用できる接着剤は異なります。
そのため、接着力に差がでてしまうケースもあります。
経年劣化はしてしまうものですが、長期維持安定させるには接着剤や接着操作も大切です。
プラークコントロール
セラミック治療はいくら精度が高いといっても隙間がないわけではありません。
残っているご自身の歯が虫歯になってしまえば、いくら高価な治療をしたとしても再治療が必ず必要になります。
2セラミックの寿命を決める要因
セラミック治療の寿命を決める要因の1つ目は、使用されているセラミックの種類です。
歯科で使用されるセラミックの種類は、ハイブリットセラミック、長石・リューサイト系セラミック・2ケイ酸リチウム、ジルコニアなどが一般的です。
セラミックはそれぞれ、強度や欠けにくさなど、さまざまな特徴を持っています。
ご自身が求める審美のレベルと耐久性のバランスをすり合わせ、正しいマテリアル選択をすることが必要です。
セラミック治療の寿命に影響を与えるその他の要因としては、修復物の大きさ、使用する歯科用セメントの種類、咬む力の強さなどが挙げられます。
セラミックは特に集中的な力に弱いので、噛み合わせのバランス
歯ぎしり食いしばりをしていないか、など
3銀歯とセラミックを寿命の観点から比較する
銀歯は、手入れや個人の生活習慣にもよりますが、通常5年から10年程度は持つと言われています。
酸性の食べ物や飲み物を多く含む食事、喫煙、歯の不衛生などは、銀歯ならずとも全ての歯の寿命に影響します。銀歯は、ひどく腐食することもあり再制作が必要になることがあります。
セラミックのデータは18年で84%残存したというデータがありますが、材料メーカー発表のものなので少し盛っていると考えてもいいでしょう。
これはあくまで体感ですが、セラミックの場合、初期に破折しなければ比較的安定していて、再治療は極端に少ないと感じています。
セラミックの中でもジルコニアとe-maxは再治療のために外すのが困難なぐらい接着強度が高く、自分自身で外したのも数えるほどなので、再治療は少ないと感じています。
4セラミック治療が壊れやすい人、そうでない人は?
壊れやすい人の一番の要因は『咬む力が強い人』と『噛み合わせが悪い人』です
歯ぎしりや食いしばりをする人、歯並びがあまり良くない人は一点一からが集中するため割れやすいと言われています。
また、酸性食品など、特定の化学物質に歯をさらしている人は、接着阻害が起きたり、歯牙が溶けてしまい適合が甘くなり脱離・破損のリスクが高くなります。
一方、口腔衛生が保たれている人や、噛み合わせが整っている人、力に対する対策をしている人は、セラミック治療の破損を経験する可能性が低くなります。
5セラミック治療を長持ちさせる方法
セラミック治療を長持ちさせるためには、個人でできる対策がいくつかあります。
第一はプラークコントロール(口腔ケア)の徹底
歯科医院での定期検診とクリーニングに通い、修復物が良好な状態にあることを確認することが重要です。
さらに、適切な口腔衛生習慣を身につけ、硬いものを噛まないようにし、酸を多く含む食べ物や飲み物を控える必要があります。
セラミック治療の種類によっては、歯ぎしりや食いしばりによるダメージから歯を守るために、保険治療適用のナイトガードの購入を検討されることもお勧めします。
まとめ
セラミック治療は、適切な治療を受ければ長持ちします。
その寿命を延ばすためには、適切な口腔衛生を実践し、硬いものを噛まないようにし、必要であればナイトガードを着用する必要があります。
さらに、セラミック治療の寿命を決定する要因や破損しやすい人を理解することで、修復物を長持ちさせることができます。
適切なケアと配慮があれば、セラミック治療は何年も持続することができます。
【執筆者】
栃内歯科医院 高度診療主任 栃内秀啓
医院理念
『縁ある人の笑顔に貢献する』
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